妊娠中から知っておくべき 母乳育児のリアル ④
こんにちは。やました歯科医院 助産師相談室 担当の助産師 山下です。
母乳育児を希望されるお母さま必見
「母乳育児をエンジョイするための事前講座
~妊娠中から知っておくべき 母乳育児のリアル~」4回目のお話をします。
今回は「赤ちゃんは、何回もおっぱいを吸う。1日8回くらい・・・」
この案件について、よくある思い違いとよくある例外を解説していきましょう。
「ミルク缶に新生児はだいたい1日8回程度と書いてあるし・・・」
「産後の入院中は3時間おきの1日8回の授乳時間だった・・・」
そのとおりですよね。
産後の入院中、母児別室の入院施設の場合は、1日8回の授乳時間を設定している病院が多いと思います。
特に、赤ちゃんに医療的ケアが必要で、NICUやGCUに入院している場合などは、
きっかり3時間おきに設定しているところがほとんどです。
けれども、赤ちゃんが3時間おきにお腹すくから・・・ではないですよね。
大人の都合上、便宜上、赤ちゃんに3時間おきに飲んでもらっている、ということだけです。
当然、赤ちゃんでも、さっき飲んだけどまたすぐ飲みたくなったり、
1時間おきくらいに少しずつ飲みたいタイプだったりとかあります。
(胃がまだ大きくないので、少しずつ何回も・・・は理にかなっていますね)
そもそも、「お腹がすいたからおっぱい」ではなくて、「なんとなくおっぱい」
という タイミングも結構あるとうことは、3回目のブログでもお伝えしました。
お母さんも、最初から母乳分泌がたっぷりのタイプは少数ですので、
少量を何回も飲ませる必要があることも、当然考えられますよね。
そうなんです、
3時間おき・・・なんかでは決してナイ!
赤ちゃんは、もっと頻繁におっぱいを欲しがるのが自然の姿!
しかしながら、時間を守る・時間は絶対!の日本の都会ルールで育ってきたお母さまやご家族は、
思っていた時間どおりいかないことに、とても不安を覚えてしまうようです。
そして、
「母乳があまり出ていないから、何度も欲しがる・・・かわいそう」
「出てないおっぱい吸わされてかわいそう・・・」
「赤ちゃんを満足させられない私は、ダメな母親・・・」と
産後特有の一時的なメンタルの弱さも相まって、ひどく落ち込み、母乳育児をやめてしまう・・・
というのもよくあるパターンです。
いまでこそ、産後の入院は母児同室で「赤ちゃんが欲しがったら欲しがるだけ、授乳してね」と
している場合が多いのですが、入院中は母子別室という場合は、
授乳の回数、時間には特に戸惑いが大きいようです。
さらに、「授乳は3時間空けておっぱいを休ませないと、母乳が出なくなる」という方法も
つい最近でも耳にすることがあります。
(お母さまのお母さま世代がこういう指導を受けていた世代でもありますので、
混乱を招いているのかもしれませんね)
もちろん、今では完全に否定されています。
では、赤ちゃん1日何回くらいおっぱいを吸うのが一般的なのか?
(何回くらいまでなら正常なのか?これらの質問はものすごく多いです。)
正解は・・・(生後1か月の時までは7回以上)上限はなし~でしょうか。
(7回以上としたのは、少ないと母乳分泌が軌道に乗らないことも十分に考えられますので一応です)
看護大学生の時に、国際看護学の演習で、カンボジア研修に参加しました。
そのときに、日本が支援している出産のための病院でも研修を行いました。
そこでみたのが、ベッドで横になっているお母さんのおっぱいを、ずっと吸い続けている赤ちゃんでした。
(とにかくずっとです)
10ベッドくらいある大部屋(カーテンはなしです)で、みんながそうだったのです。
助産の勉強を始める前でしたので、日本の病院で見た母子の過ごし方との違いに違和感を感じたのですが、
施設の人に話を聞くと「これが産まれたばかりの赤ちゃんの自然な姿よ」と話してくれました。
そうなのです。
泣く暇もないくらい、ずっとお母さんのおっぱいを吸っている、これが赤ちゃんの、哺乳動物の自然な姿なのです。
こうであるべきだ、こうしたいんだという気持ちが大きくなってしまって、
本来の姿を捻じ曲げてしまっているかもしれません。
それが、より保育者の不安を高めていることは十分に考えられます。
初めての育児の時はだれでもそうだと思いますが、何が正解なのか、間違っていないか、不安はつきものです。
母乳育児をエンジョイするための事前講座~母乳育児のリアル~は今回で終了します。
母乳育児も含め、育児のいろんなこと、やました歯科医院の助産師相談室でもお話することができます。